先生。あなたはバカですか?


***


時計の針が、カチコチと音を刻む。


「遅い……」


時間を確認して、何度目か分からないその言葉をまたぼやく。


いつもなら、もうとっくに帰って来てる時間なのに、岩田先生はまだ帰って来ない。


もう今日は、私が来ないと思って用事でも入れてしまったのかな。


金曜の夜とか、大人の世界は付き合いとかもあるだろうし。


むしろ、今まで私の勉強を見ていたから、そういうのに行けなかったのかもしれない。


ソファーに座りながらそんな考えを巡らせる。


キッチンからは香ばしいカレーの香り。


いつも作ってもらってばかりでは悪いし、謝罪の気持ちも込めて作ってみた。


お陰で手は傷だらけ。


香りばかり美味しそうで、実際鍋の中身はスープみたいにシャバシャバのカレー。


カレーってさ、ルーを入れたら必然的にトロトロになるものじゃないの?


ルーの箱の裏に書いてある通りに作ったはずなのに、なぜかパッケージのようなカレーにならなかった。


しかも、確かに入れたはずのジャガイモが……消えた。


一体ジャガイモはどこに行ってしまったんだ。