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時計の針が、カチコチと音を刻む。
「遅い……」
時間を確認して、何度目か分からないその言葉をまたぼやく。
いつもなら、もうとっくに帰って来てる時間なのに、岩田先生はまだ帰って来ない。
もう今日は、私が来ないと思って用事でも入れてしまったのかな。
金曜の夜とか、大人の世界は付き合いとかもあるだろうし。
むしろ、今まで私の勉強を見ていたから、そういうのに行けなかったのかもしれない。
ソファーに座りながらそんな考えを巡らせる。
キッチンからは香ばしいカレーの香り。
いつも作ってもらってばかりでは悪いし、謝罪の気持ちも込めて作ってみた。
お陰で手は傷だらけ。
香りばかり美味しそうで、実際鍋の中身はスープみたいにシャバシャバのカレー。
カレーってさ、ルーを入れたら必然的にトロトロになるものじゃないの?
ルーの箱の裏に書いてある通りに作ったはずなのに、なぜかパッケージのようなカレーにならなかった。
しかも、確かに入れたはずのジャガイモが……消えた。
一体ジャガイモはどこに行ってしまったんだ。



