それから先生とは話していない。
それどころか、どこですれ違おうと目すら合わさない。
鉢合わせになりそうになれば、直ちにそれを回避して、出来るだけ会わないように努る毎日。
別に怒っているわけじゃない。
ただ、もう先生の口からあんな言葉を聞くのは嫌なんだ。
そんな中でも、時間というものは無情にも時を刻むわけで……。
「……それじゃあ、土日も勉強怠んなよー!」
やってきたのは金曜日。
「さようなら」という帰りの挨拶が済むと、みんな一斉に下校をし始める。
今日の先生との勉強会は、中止でもいいのだろうか?
このまま自分の家に帰宅してしまいたい。
先生の家に行く時に目立ってしまわぬよう、いつも着替えるために持ってきている私服は、念のため今日もカバンの中にある。
だけど、こんな状況の中、先生と部屋で二人きりになるなんて……。
考えただけで冷や汗が吹き出す。
“やっぱり今日は帰ろう。”
そう思った時だった。
「生田」
「峰山先生……」
「悪いんだけどさ、これ数学科準備室に運ぶの手伝ってくれない?」



