言葉を遮るように、先生に掴まれていた腕が強く引かれる。
足を踏ん張る間もないくらい、一瞬の事。
私の体は先生に引き寄せられて、驚いて上げた顔に、夕日を背中に背負った先生の顔の影が重なって……。
「……っ!」
先生の唇が私の唇に、突然重なった。
何で……。
何でいつも私達は、こんな風に相手の気持ちが分からない、寂しい触れ方しか出来ないんだろう?
「~~~っ!」
ドンッ!!
私はその胸を強く押し返す。
先生の体温が離れて、私の目から涙の雫が一粒零れ落ちていく。
「……言っただろ。俺は、いつ教師を辞めたっていいって。お前の側で“今”を過ごせるなら、教師なんていつでも辞めてやる」
私の肩を掴む先生の手に力がこもる。
なぜだか分からないけど、先生の口から絞り出すかのように出てくるその言葉に、気遣ってあげる余裕すらなくて……。
「……そんないい加減な気持ちで教師という仕事をしていたなんて……。あなたの事、見損ないました」
吐き捨てるようにそう言うと、私は先生の手を振りほどいてその場を走り去った。



