先生。あなたはバカですか?


誰かに指図されたわけじゃない。


初めて自分で見付けた“試してみたい事”。


後は自分が決めるだけ。


それに向かって手を伸ばすかどうかの決断をするのは、私自身。



「生田さんがこの学部を選んだのって、岩田先生の影響?」


「え!?」


突然、川島君の口から発せられたその名前に心臓が跳ねる。


だけど、放った当の本人は、何食わぬ顔で私の顔をじっと見つめていた。


「どういうこと?」


「うん。生田さん、岩田先生の事が好きなのかなって」


「……なっ!?」


思わず、椅子が倒れそうなくらいの勢いで立ち上がれば、「当たりみたいだね」と苦笑する川島君。


まるで肯定するかのように真っ赤になっていく私の顔面は、もうどうやったって気持ちを隠しようがない。


「大丈夫。誰かに言ったりしないよ」


そう言われ、なんて返していいか分からず、目を泳がせてから一先ず椅子に座り直す私。


「生田さんでもそんなに動揺するんだね」


「……川島君。ちょっと意地悪だわ」


「うん。ごめんね。なんか今、優しく出来そうにないや」