先生。あなたはバカですか?


こうやってこの人に勉強を見てもらう内に、いつの間にか、私の数学への苦手意識はなくなっていてたんだ。


「少し……見直しました」


「それはよかった」


ふっと空気の漏れるような音が聞こえてきて、先生が笑っているのが分かった。


だけど、手元に目を落とす先生の顔はどこか悲しそう。


「でも、お前の言う通りだよ」


「え?」


「俺はずっと、いつ教師を辞めたっていいと思ってた」


「それって……?」


そう問いかけても、先生は一瞬ふっと目を細めて笑うだけ。


結局それ以上は、何も話さなかった。








あれはどういう意味だったんだろう?


先生はやっぱりこの仕事が嫌いということなのだろうか?


まぁ、あれだけの不良教師だ。


そうだったとしても不思議ではない。


本当に教師という仕事に誇りがあるなら、もっと執着するはずだもの。


いつ辞めてもいいだなんて、そんな事思うはずがない。


何だろう?


何だか私がもやもやする。


何だかとても悲しい気分。



「あの……。生田さん」


授業と授業の間の中休み。