先生。あなたはバカですか?


そんな事を思っていれば、はぁーっと大きなため息が聞こえてきて、私はピクッと肩を揺らした。


「そういう事じゃねーだろ」


「……え?」


「俺がお前を気にして何が悪い」


先生は、少し怒っているような表情。


だけど、その瞳は相変わらず優しく私を捉えていて……。


「一人でコンビニ飯?ふざけんな。お前そんなんだから胸に肉つかねーんだよ」


「……なっ!?」


今、なんて言ったこの男……!!


「そんな生活してたらな、今にあっという間にばばぁになってくからな。今は若いからいいけどな、ゆくゆく後悔するのはお前だぞ。
大体よ。飯ぐらい自分で作らねーの?」


「つ…作る暇があったら勉強を…


「はい。言い訳ー。単にお前、作れないんだろ?」


「ぐっ…」


図星だ。


生まれてこの方、料理などした事はない。


いや、小さい頃、まだお父さんがいた頃に、ご飯を作っているお母さんの手伝いをした事くらいはある。


でも、それも遠い日の思い出。


今の私は、包丁すらまともに握れる自信がない。


料理というものの原理すら分からない。