もしかしたら先生は、私の体に害が及ぶのは嫌だと考えてくれてるのかな……とか。
本当は吸いたいくせに。
先生は分かりにくいけど、きっと私を凄く大切にしてくれている。
テレビをつけて、ソファーの背もたれに腕を回す先生。
先生の腕が肩にあたりそうになってドキリとする。
必死に参考書を読んでいるふりをするけれど、少しも頭に入ってはこない。
この家は、先生の匂いがするから、自分の全てが先生に包まれているような錯覚に陥ってまるで落ち着かない。
そして……こんな近くに先生がいる。
私は、ぐっと口を結ぶ。
なんだろ?この感じ。
“もっとくっつきたい”
そんな事を思ってしまう。
先生は今、何を考えているのだろう?
参考書から顔を上げると、私は躊躇しながらも先生へと視線を移した。
それに気付いた先生が、優しい顔で「ん?」と首を傾げる。
私は慌てて言葉を探した。
「…今日は、ありがとうございました」
「飯の事?別にあんなの大したもんじゃねーから気にすんな」
「そうじゃなくて…いや、それもそうなんですが…」
「なんだよ?」
先生は、不思議そうに眉を寄せ、頭の上にハテナを浮かべている。



