先生。あなたはバカですか?


姿を見られたくないあまり、私は躊躇という気持ちをぶん投げて、先生の家の玄関を勢いでくぐってしまった。


パタンという音を立てて閉まるドア。


入って…しまった……。


一人ドアの前で青くなる。


先に上がりリビングへと向かった先生が、廊下と部屋を隔てるドアから「入ってこいよ」と言って顔を出す。


いち教師たる者が、こんな時間に女生徒を部屋に連れ込もうっていうのに、この男の余裕たるもの。


きっとこの男は生まれてくるときに、罪悪感という感情をどこかに忘れてきてしまったんだろう…。


眉を寄せ、ため息をつくと、私は先生のいるリビングへと向かった。





先生の家のリビングは、一言でいうと殺風景。


テレビとソファーが向かい合うように置いてあって、その間にガラス製のローテーブル。


その下にはダークグレーの絨毯が敷かれている。


特に何を飾るでもなく、それだけ置かれたリビングは、少し先生のイメージと違ってなんだか違和感があった。


だってこの人の事だから、チャラチャラと細かいところまでこだわっていそうだし。


挙げ句の果てには、“それには触るな”とか言ってきそうだし。