先生。あなたはバカですか?


それはきっと、私も心のどこかで


“彼と一緒にいたい。”


と、思ってしまっているからなのかもしれない。


私でも…そんな感情があったんだな……。








先生の住むマンションまでは、思ったより時間がかからなかった。


スクールカバンに入れていた参考書を車中ずっと読んでいたからなのか。


それとも、意外にご近所さんだからなのか。



とにかく私は今、【岩田】と書かれた表札のあるドアの前で佇んでいた。


玄関の鍵を回しドアを開けて、「どうぞ」と中へと促されても、私の足は地面に張り付いてしまったかのように動かない。


その代わり、額に冷や汗がじっとりと滲んできて、私は拳を硬く握りしめて、ゴクリと唾を飲み込んだ。



いくら強引に連れてこられたとはいえ、私は今、とんでもない事をしようとしているんじゃなかろうか。


「入らねーの?」


「い…いや、やっぱりこれはどう考えてもおかしいんじゃないかと……」


「じゃあ何?帰んの?」


「で、出来ればそうした「あ。こんばんは」


「お邪魔しまっすっっ!!!」


共用通路に現れたご近所さんに、すかさず挨拶をする先生。