先生。あなたはバカですか?


「会いたかったんだよ。どうしても」


甘い声色が、私の鼓膜を柔く刺激する。


それと同時に早いリズムを刻み出す私の心臓。


あーもう。ずるい。


そんな風に言われてしまったら、これ以上強くは言えなくなってしまうじゃないか。


「が…学校で会うじゃないですか」


「うん。でも、お前学校じゃ完全にシカトだろ」


う。

バレてたか。


「だから、こうして触んのも久しぶり」


さっきまでの小憎たらしい顔はどこにいった。


これでもかってくらい優しい表情で、愛しいものを愛でるように撫でる先生の手は暖かくて。


あぁ。ダメだ。


ちょっと気持ちいいかもしれない。


ついされるがまま、身を預けてしまう。




「つーわけで、出発すんぞ」


は!!

しまった!!!


完全にほだされてしまっていた!!!


「ちょ……まっ…」


「シートベルトするぞ」


「え……あっはい……ってえ!?」


身を乗り出してきた先生は、ビクッと体を硬ばらせる私のシートベルトを手際よくつける。


それから、「行くぞ」と言って、車を発進させた。



日に日に強引でマイペースな彼に逆らえなくなっている気がする。