先生。あなたはバカですか?



やっぱり私……物凄くバカにされていないかしら?



私には何の事やら分からないが、最後のセリフが妙にツボだったらしい。


先生は、口を押さえて声を殺して笑って…やがる。



ようやく笑い終えたかと思うと、涙を指で拭いながら余裕のある笑みを浮かべ、私に目を向けた。


「てかさ、何で俺も叱られてるわけ?俺は襲われてただけで、何もしてねぇだろ?」


「それにしては、されるがままって感じでしたけど。それに、今回の事に限ったことじゃありません。あなたは沢山の女生徒に手を出しているって話ですが?」



こうやって口に出してみて思うけど、この人本当によく教師をクビにならないな、と思う。


普通こんな事学校に知れたら、即刻クビじゃないの?


こんな教師を野放しにしておくなんて、羊の群れに狼を放り込んでおくようなものよ。


「それ、噂だろ?」


「え?」


「俺は、生徒に手なんか出した事ない」


「……」


いや。


いやいやいやいや。


この人にそう言われた所で、誰が「はい。そうですか」って信じられるというんだ。