「その反面、少し心配でもあるんだ。この恋がどれだけ大変か、私は身を持って知ってるから。さっきみたいにね、教室の中で気軽に話せる事なんて一つもないの 。沢山の想いを心の中に秘めとかなきゃいけない。それってとってもとっても苦しい事なんだ」
花織ちゃんは、膝を抱えたままどこか空(くう)を見つめていた。
彼女は今まで、それをたった一人で耐えてきたのだろうか。
「だから私、翠ちゃんが峰山先生との事を受け入れてくれた時、凄く凄く嬉しかった。もう、一人で心に秘めておかなくていいんだって。凄く気持ちが楽になったの。
だからね、翠ちゃんも一人で抱えずにこうやって私に話してほしいな。嬉しい事があったり、辛い事があったりしたら、いつでも連絡して?私は絶対に翠ちゃんの味方だから」
そう言って、私の手をギュッと両手で包み込む花織ちゃんに、私の胸の奥はじんと熱くなる。
味方…か。
自分の事を受け入れてくれる人がいる。
ただそれだけで、こんなにも心強いものなんだって初めて知った。
今まで、一体私はどうやって一人で歩いていたんだろう?
それすら分からなくなるくらい、誰かが隣に居ることが当たり前になってしまった。



