教室に入るなり、花織ちゃんは「久しぶりーっ!」と仔犬のように駆け寄って来たかと思えば、すぐにハッとした顔をして私にそんな事を言ってくる。
「花織ちゃん久しぶりね。相変わらず元気そうでなにより…」
「違うよ!翠ちゃんが元気なさすぎるんだよー!!一体どうしたの?何かあった??今が一番楽しい時期なはずなのに何で…
…って、あっ!!」
ん?
“今が一番楽しい時期”?
私が眉を寄せて花織ちゃんを見れば、花織ちゃんは両手で口元を覆って、しまったという顔で視線を横に逸らした。
その様子を見た私は……。
まさかっ……!
ドッと嫌な汗が吹き出してくる。
「花織ちゃんもしかしてっ……
「ああぁぁーーっ!!翠ちゃん!!ちょっとこっち!!」
私の言葉を遮るようにそう叫ぶと、花織ちゃんは私の腕を引き、急いで教室を出た。
花織ちゃんに連れて来られたのは、屋上へと続く入り口の前。
畳四畳ほどの踊り場となっているスペースだ。
普段、許可なしには屋上に出られないようなっていて、常に鍵がかかっている。
だからというのもあり、基本的に人が寄り付く事はないこの場所。
そんな所まで、なぜか駆け上がってきた私達は、2人して上がった息を整えていた。



