久し振りの学校。
昇降口まで続く、通い慣れた桜並木の道をゆっくりと歩く。
夏休み前は、まだ青々と生い茂っていた葉が、秋に向けて何処と無く色を失い初めている様を、呑気に眺めているのは私くらいのものだろう。
下駄箱に着けば、友達との久々の再会を喜び合っている生徒があちこちにいて、普段ではあり得ない人口密度になっていた。
実際、私の下駄箱の前にも、男子2人が通せんぼ状態。
靴をしまえないから、どいて欲しいのだけど…。
少し待っていたものの、どいてくれる様子は全くなくて、仕方なく意を決して声を掛けようとすると、
「どいて。」
私の前に、大きな背中が壁のように立ちはだかって、男子2人を蹴散らしてくれた。
誰かと思い見上げれば、
「生田さん。おはよう。久しぶり」
そこには、相変わらず気怠そうな様子で私を振り返る川島君の姿があった。
「おはよう川島君。本当に久しぶりだね。」
そう言うと、無表情な川島君の頬が少しだけ上がった気がした。
「彼らをどかしてくれてありがとう」
きっとあれは、私が困っているのに気付いてくれたのよね。



