先生。あなたはバカですか?

「…先生」


「なんだよ」


先生はバツの悪そうな顔で、私に目だけを向ける。


「先生前に、私の世界をぶち壊してやるって言いましたよね?」


「?…あぁ。そんな事言ったな」


先生はそう言うと、持っていたゼリーをテーブルに置く。


テーブルとぶつかったスプーンがカタンと金属音を立てた。


「じゃあ…壊したその後はどうするんですか?」


「え?」


「私の世界が壊れたその後、私はその壊れた世界を一人で生きて行かなきゃけないんでしょうか?」



先生と視線がぶつかる。


朦朧とする意識の中で、先生の顔色が変わるのが分かった。


怒っているわけではないけど、冷ややかさを含んだ瞳。


片方の口角だけを上げ、意地の悪い笑みを口元に浮かべる。



「随分とあざとい聞き方するじゃねぇか」



ベッドがギシッと音を立てる。


明かりが遮られ、私の上に影を落とす。


あの優しい香りが鼻を掠めると、


私の目の前には、相変わらず整い過ぎなくらい整った先生の顔があった。



先生が、私に覆いかぶさるようにベッドに手をついたのだ。