先生。あなたはバカですか?


峰山先生は、ホッとしたように一度微笑むと、


「芝関。悪いんだけど下の自販機で生田に何本か飲み物買って来て貰ってもいい?俺の財布持って行っていいから」


先生は、花織ちゃんに財布を預けると、


「はいっ!任せて下さいっ!翠ちゃん待っててね!」


そう言って花織ちゃんは、先生の財布を大事そうに抱えたまま部屋から出て行った。


その様子を見て、先生は花織ちゃんを信用しているんだな…。とぼんやりした頭でそう思う。


やっぱりこの2人は付き合っているのだと、妙に納得してしまった。



「食事とかはこの部屋に運ばせるから」


「はい。ありがとうございます」


私が再び横になると、何となく視線を感じてそちらに目を移せば、


「生田。ありがとうな」


私を見ている峰山先生と目が合って、微笑みながらそんな事を言われる。


「…なんの事ですか?」


「芝関から聞いたよ。俺らの事知った上で、芝関の側に居てくれるんだろ?」


まるで自分の事のように嬉しそうな笑顔を向ける峰山先生。


それだけで、峰山先生が花織ちゃんをどれだけ大切に思っているのかが分かった気がした。