先生。あなたはバカですか?


あぁ–––


今なら素直に認められるかもしれない。


受け入れられるかもしれない。



真面目以外に何もなかった私の世界が、壊れ、新しいものになり、色付いていくのを…。


その世界が、花織ちゃんのように胸を張って”幸せ”だと言える場所になるのなら、


ほら。


一歩踏み出して。


道の脇に咲いている、綺麗な花に向けて…––––



「花織ちゃん。私にあなたの恋を応援させて」


「…え?」



「私の友達になって下さいっ!」



未だかつて、こんなに何かに真剣になった事があったかな?


震える手を握りしめて。


歯を強く噛み締めて。


彼女の瞳を、真っ直ぐ真っ直ぐ見詰める。




そんな私に花織ちゃんは、一度大きく目を見開くと、少し潤んだ目を細くして、




「何言ってるの翠ちゃん!もう、とっくに友達だよ!」



そう言って笑ってくれた。




同時に、上がる水飛沫。


柔らかくて、温かい温もりに触れる。




花織ちゃんはまるで子供のように、


無邪気に私の胸に飛び込んできた。