––––––チャポン…


「はぁ〜」


誰も居ない大浴場に私の溜息だけが響く。


あれからすぐに先生の部屋を出て、私は取り敢えず当初の目的である大浴場へとやってきていた。


花織ちゃんと向き合ってみるとは言ったものの、いざそうしようと思うとどうしたら良いのか全くもって分からない。


部屋に戻れば2人きり…どう会話をしたらいいのだろう?


今まで、人とのコミュニケーションを散々サボってきた私に、まさに今そのツケが回ってきているといった感じだ。


まぁ元はと言えば、私があんな言い方をしなければこんな事にはならなかったわけだけど…。



花織ちゃん、怒っているだろうか?


いや、きっと呆れているだろうな。


花織ちゃんはもう、私にあんな風に笑いかけてはくれないかもしれない。


湯船の中で頭を抱えていると、


–––…ガラッ


大浴場の入り口の開く音がする。



誰か入って来たのだろうか?


こんなに遅い時間に入浴しにくるなんて、私くらいなものだと思っていたけど。


誰だか知らない人と2人きりというのも気まずいので、そろそろ出ようと思ったその時…