先生。あなたはバカですか?

だけど…人の秘密を影で吐露するなんて、あまり気が進まない。


「あの…先生は、何で私なんですか?」


「何が?」


恐る恐るそう聞く私に、先生は首を傾げる。


「何で敢えて私と付き合いたいのかと思って…。教師と生徒なんて、リスクが高すぎるじゃないですか。先生だって前に言っていたでしょ?そんな面倒なものに手を出すほど女の人に困ってはいないって…」


花織ちゃんと峰山先生もだ。


なぜそんなリスクを負った恋愛をするのか、わけが分からない。


花織ちゃんは、そんなバカな事をする子ではないと思っていた。


なのに…。



「前に言っただろ?好きだからだって」


「それは答えになっていません。好きだからルールを破ってでもそうしたいだなんて、子供のワガママと一緒じゃないですか」


先生は、さっき私に見せた缶コーヒーを開ける。

そして、一口それを口に運ぶと、私へと視線を流し、


「相変わらず真面目だねぇ。」


呆れた声色でそう言った。