結局、心が乱されていたのは私ばかりじゃないか。



あなたの事で頭がいっぱいになっていたのは、私だけじゃないか。



何なのこれ…。


凄く悔しくて、どうにかなりそう。




「も…やだ…」



部屋に入ろうとする先生の足が止まる。



「もうやだ…っ。私は、私がよく分からないっ」



先生の目が一度大きく見開かれる。



そりゃそうだ。


きっと私、まるで子供が泣くのを我慢しているような顔をしている。


目にはいっぱい涙を溜め、唇を噛み締め、パンツの裾を握る手は震えている。



自分で自分がよく分からなくなるなんて、今まで一度だってなかった。


それなのに、今の私の頭の中はぐちゃぐちゃだ。


先生の事も、花織ちゃんと峰山先生の事も、


沢山の理解不能な事がこんがらがって、まるで解く事が出来ない。


もう自分じゃどうしようもないの。





ねぇ。


どうにかしてよ。


先生…。




「生田 スイ」



ビクッと私の肩が上がる。



「おいで」