宿に着くと、肩で息をしながら何とかサンダルを下駄箱にしまった。
宿のロビーは、さっき出た時のまま誰もいない。
凄く静かだ。
スリッパに履き替え、上がった息を整えながら部屋に戻ろうとするが、重要な事に気が付いて足を止める。
このまま部屋に戻ったところで、きっとこの後すぐに花織ちゃんも帰ってくる。
そうしたらあの部屋で2人、気まずい状態のまま夜を明かさなきゃいけないのだ。
出来るのなら今は花織ちゃんに会いたくはない。
冷静に話せる自信がない。
もう…
一体どうしたらいいのよ…。
そう途方に暮れていると、スリッパを擦るような足音が聞こえてきて、ハッとそちらを振り返った。
「生田 スイ?」
そこにあったのは、
風呂上がりなのか、水滴の滴る髪をタオルで拭きながら、白のTシャツにグレーのスウェット姿という何とも見慣れない格好をした不良教師の姿だった。
––––––––ホッ…
彼の顔を見た途端、肩の力が抜けるような妙な感覚を感じて、思わず胸に手を当て首を傾げる。



