先生。あなたはバカですか?

そんな私に、花織ちゃんはくしゃっと顔を綻ばせ、


『翠ちゃんだから、聞いて貰いたかったんだ』



そう言った。



花織ちゃんが、なぜ私を相手に選んでくれたのかは分からない。


ただ部屋がたまたま一緒になったからかもしれない。


だけど、私は花織ちゃんが私を話し相手に選んでくれた事が凄く嬉しかった。



やりかけのまま開かれた問題集さえ、気にならないほどに。







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私、一体どうしてしまったんだろう?


ここ最近、世界が広がって見える気がする。


前は食事する時でさえ、視界は参考書だった。


食事はただ空腹を満たすだけのもので、食べたかどうかさえ忘れてしまうほど、どうでもいいもの。


勉強の手を止める価値もない。


なのに……。


「翠ちゃん!ここの料理凄く美味しいっ!」


今目の前には、美味しそうに昼食を頬張る花織ちゃんの姿。


私も一口それを口に運ぶ。


……あ。


「うん。凄く美味しい」





「だろ?ここの料理、理事長の友達の凄腕のコックが作ってるんだって!」


背後から声がして、振り返れば…。



げ。



そこには、相変わらず爽やかに笑う峰山先生と……



「よぉ」



その隣で気怠そうな表情で火の点いていないタバコを咥える…不良教師の姿。