先生。あなたはバカですか?

『だけどある日、どうしてもそれじゃ我慢出来なくなっちゃってね。もっともっと近付きたくなって触れたくなって、フラれるの承知で告白したんだ!』


『告…白…』


告白なんて、本当にする人がいるんだ…。


いや、そりゃいるだろうけど、


今まで身近にそんな事をする人なんていなかったから、花織ちゃんの話が未知の世界の話のように聞こえてくる。


え?


あなたこの間、告白をされたでしょ!って?


いやいや、あれは断じて告白とは言わない。


嫌がらせの一種とみなす方が正解と言えよう。



『そしたらね、見事惨敗!まあ、分かってはいたんだけどね!でも、それでもショックで!』


『…そういうのって…やっぱりショックなものなの?』


恐る恐るそう聞く私に、香織ちゃんは驚いたように目を丸くすると、一度顔を綻ばせて、


『うん。凄くショックだよ。凄く凄く苦しい。彼を好きになった事を後悔するほど。告白なんてしなければ良かったと思ってしまうくらいに』


そう言って、どこか懐かしむように、憂いを帯びた表情で微笑みながら目を伏せた。



やっぱり私には全然想像がつかなかった。


そんなに辛いのに、なぜ恋なんてするの?


辛い結果が見えているのに、なぜ告白なんてするの?


考えた所で、私なんかが答えに辿り着くはずがない。



だって私は、恋なんてした事がない。