先生。あなたはバカですか?

「…そうですか?」


自分では、その間違っている所すら分からない。


「この間の模試の時と類似した問題だな。お前この前と同じミスしてるぞ」


「!?見たんですかっ!?」


「生徒のは一通り目を通すんでね」


「〜〜〜〜っ」


この不良教師に、あの最悪な模試の結果を見られていたなんて!


酷く恥かしさが込み上げてきて、唇を噛んで俯くあたし。


一方不良教師は、


「へぇ。お前でもそんな顔するんだ」


意地の悪い顔で、頬杖をつきながら私の顔を覗き込んでくる。


「…根性悪っ…」


「なんか言った?」



悔しい悔しい悔しい。


こんな奴に見られた事も。


こんな問題も解けない私も。


心のどこかで数学に苦手意識を持ってしまっている私も。


私はもっと、頑張らなくちゃいけないのに…。


「誰だって苦手な事くらいあるだろ」



思いもよらない言葉が落ちてきて、俯いていた顔を上げて、彼を見る。



「それを恥じるのは、頑張ってる自分に失礼だぞ」


「……っ」


初めて見る彼の優しい顔に、心臓がドキッと音を立てる。


開けっ放しにしていた窓から入り込んでくる風で、先生の綺麗な黒髪が揺れた。