真っ黒な心を抱いてオフィスへ行った。


自分の前と横にいる人達のことが気になって仕方なくて、やっぱり今日も仕事が捗らない。



「バカ山!いい加減にしろ!」


同じミスを繰り返してたら、当然、先輩に怒鳴られた。


「お前、ボンヤリするにも程があり過ぎだぞ!一体仕事を何だと思ってるんだ!」

「す…すみません」


ごめんなさい。
ホントに反省してます。

自分でもしっかりしないといけないって分かってるんです。
でも、どうしても気が散ってしまってーーー



「空君、怒り過ぎよ」


隣から女神の声が聞こえる。


「怒ったからってナッちゃんが仕事のミスを減らせる訳じゃないわ」


気にしないでいいからね…と慰められる。


「汐見、お前はバカ山に甘過ぎる!」

「あら、厳し過ぎても伸びないものよ」


何気ない会話も楽しんでるようにしか聞こえない。
私をツマミにして、勝手に盛り上がるのなら止めて欲しい。


「……気をつけますから」


総務へ来てから何度も口にしてきたセリフを述べた。
今更何の効力も示さないけれど、決意として言うにはこれ以外の言葉が見つからない。


「本当に気をつけろよ!」


鬼の口調はいつもより厳しい。


「はい……」


劣等感でいっぱいになる。


ショボくれてる私に汐見先輩が「ドンマイ!」と勇気づけてくれる。

そんなことされると余計に落ち込む。