溺れる恋は藁をも掴む

 メールの返信はその日うちに届かなかった。

 次の日も次の日も……

 もう、この時点でこの恋の行く末は予想だって出来た。

 ーーだけど、縋りついたーー


 毎日、考える事は誠治さんの事ばかり。

 返信のない携帯を見て溜息。

 一人になると泣いていた。


 返事が来ないメールに苛立ち、敢えて逆効果しか生まない行動に出てしまう。


 ーーつくづく恋愛偏差値の低い私ーー




 『週末、時間取れませんか?』

 結果がみえみえのメールにだって、僅かな期待を添えて送ってしまう。


✾✾✾

 この間はごめん。
仕事忙しくて……
週末は残業になりそうなんだ。
無理かな……
ごめんね。

✾✾✾

 断りのメールがその日のうちに届いた。
確実に、誠治さんからのメールの文字数も少なくなった。




 『お仕事なら仕方ないですね。!
クリスマスまで楽しみは取っておきます(^O^)』


 なんて……………
 あの時にした約束を逆手に取ったメールも送った。 

 しおらしい女を気取りながら、ことごとく、自分の心に傷をつけていった。

 99%失恋決定な恋愛でも、残り1%の儚い希望に懸けたい恋だった。

 恋愛成就のHOWTO本や恋が上手くいくおまじないや占いなど、自分の力でどうにもならない事は、そんなものを頼ったりもした。

 ーーとにかく、もがけるだけもがいたのーー



 返信なんて期待出来ないのは、分かっている。


 たわいのない1日を語り、
『どうか私を忘れないで!』という気持ちを送り続けた。


 この恋にしがみついていた。