「いいのよ、走らなくて。」





佐藤って呼ばれてすぐに反応できない自分に驚いて、思わず走っていた。





看護師さんに声をかけられたけど、既に息が上がってた。






診察室に入ると、結婚式以来の進藤先生がパソコンに向かっていた。






「健診の日に走ったら、いい結果は出ないぞ。





まぁ、式に旅行にと疲れもあるから、どうしなくてもいい結果は出ないと思うけどね。」






「ごめんなさい・・・・・・。」






素直に謝った。





「どうだった?旅行は?





あ、お土産ありがとうね。佐藤先生からもらったよ。」






「いえ、こちらこそ、結婚式ではありがとうございました!!!」






丸椅子に座りながらお礼を言った。






「いやいや、貴重な体験をさせてもらったよ。」





嬉しそうな顔の進藤先生。






「それじゃ、診察始めるね。」






と持っていた聴診器を耳に当てたので、私は着ていた服を上げた。







私の胸に当てた瞬間、真剣な眼差しの進藤先生。






長い聴診のあとは、瞼を見たり、首のリンパに手を当てたり。






「少し、貧血かな。





あとで採血をしておこう。」






えっ!?






「嫌だった?」






「え、いや・・・・・・。」






注射は嫌いではないけど、好きなわけもない。






「じゃあ、循環器科と呼吸器科の検査室で検査のあと、またここに来てね。」





「はい。」






と返事をして、診察室を出た。