「由楽……」




深い眠りについた私の名前を、小さな声で呟く恭弥。


恭弥は何かを決心したかのような芯の通った真っ直ぐな瞳で、前を向く。




「誰が相手だろうと、俺はこの気持ちを譲らねぇ」




もう後戻りはできないくらい深くて熱い想いを胸に、恭弥はそんな言葉を紡ぐ。



「たとえ相手が仲間だとしてもな」



幼い頃から募っていたある感情をずっと抱えてきた恭弥は、生徒会メンバーを思い浮かべながらキュッと下唇を噛み締める。


そして、私たちを照らす太陽の下で、恭弥はある三文字の言葉を言った。


その言葉は“声”にはならず、もちろん眠っている私には聞こえない。


それでも、恭弥はもう一度私を見て囁いた。




たった三文字の言葉には、恭弥の胸に秘められている想いが溢れるくらい詰め込まれていて。


恭弥は切なそうに目を細めて、私の瞼にそっと唇を寄せた。





幼かった私が願いを込めたシルバーのヘアピンについている星型のスタッズが、太陽の光に反射してキラリと輝く。


まるで、願いを聞き届けたと知らせるように。



眠っている私は、あの日あっちゃんが誓った思いを優しく包み込むようにふわりと笑った。