「あ、あとさ、本当はヘアピンをもらったあの日に言おうと思ってたんだけど、実は俺………」
恭弥の照れくさそうな声を聞きながら、私は目を閉じる。
居心地のいい恭弥の背中に全てを託すように、熱によって再び意識が朦朧としてきた私は、あっちゃんと再会できた喜びに浸りながら眠りについた。
「お前のことがす………って、寝てんのかよ!!」
遠くの方で「ちゃんと聞けよな」とブツブツぼやいている恭弥の声が聞こえてくる。
あっちゃんは、変わったけど変わってないね。
金髪の不良さんになって誰もが恐れ憧れるくらい強くなったけど、怪我をした私を心配してくれた優しいあっちゃんのままだ。
あのね、あっちゃん。本当は、私知ってたんだ。
あっちゃんが小学校で大喧嘩をして、皆に怖がられていたってこと。
噂でそれを聞いたとき、びっくりした。
だって、あっちゃんはなんの理由もなく喧嘩をする人じゃないってわかっていたから。なんで皆が怖がるのか不思議に思うくらい、あっちゃんは優しい人だって知ってるから。
公園に行く途中でたまたまあっちゃんを見かけたとき、気弱そうな男の子と仲良さそうに話をしていたのを見てしまったんだ。「助けてくれてありがとう」って男の子があっちゃんに言ったことも、聞いてしまった。
その時思ったの。やっぱりあっちゃんは私の憧れの人だ、って。そんなあっちゃんと友達になれて、私は幸せだなぁって。
でも、このことは秘密。
それを言っちゃうと、あっちゃんは照れてごまかすから。
今度は、“あっちゃん”のことじゃなく“恭弥”のことを、もっともっと知りたい。
だから、そばにいさせてね。



