「お前が階段で倒れたから、保健室に連れて行って体温を測ったら38度もあって……」
さ、38度もあったんだ。
熱はないって思ってたけど、まさかそんなにあったとは……。
「それでお前の住所を蜜に調べさせて、俺が送り届けてるってわけ」
つ、つまり、多大な迷惑をかけてしまったということだよね。
うわー、大失敗だ。迷惑をかけたくなくて演技までしたのに。こうなっちゃったら元も子もないじゃんか。
「ご、ごめんなさ……」
「つーか、風邪引いてんだったら先に言えよな」
私の言葉にわざとかぶせてそう文句を言った恭弥。
「で、でも、迷惑かけちゃうし……」
「はあ?んなこと気にしてんじゃねぇよ」
「え?」
「迷惑なんて誰も思っちゃいねぇよ。てか、俺たちってそんなに頼りねぇか?」
恭弥の声はいつもより優しくて、どことなく切なくて、なぜか懐かしい感じがした。
恭弥の背中が大きく感じて、今恭弥がどんな表情をしているのか気になった。
あぁ、どうしよう。瞳が潤んでいく。



