『大丈夫か!?』
あっちゃんが慌てて落ちてきた私に駆け寄った。
落ちた衝撃で私の右手首は骨折していたが、私は平気なフリをして笑顔を向けた。
『大丈夫っ』
毛先を左の指でいじりながら言うと、あっちゃんは涙を目尻にためて、泣くのを我慢しているような顔で私を見つめた。
『ごめんな』
あっちゃんは何も悪くないのに、私が無茶をしただけなのに、あっちゃんは弱々しい声でポツリと呟いた。
私は「謝らないで」と首を横に振る。
『もう二度とこんなことがないように、俺がお前を守るから!強くなって、ゆーちゃんに痛い思いをさせないようにするから!!』
私のことを「ゆーちゃん」と呼ぶあっちゃんの私への真っ直ぐな気持ちが、痛いくらい伝わってきた。
それは、まだ幼いあっちゃんの精一杯の純粋な誓い。
私はあっちゃんのその言葉が嬉しくて、付けていたシルバーのヘアピン二つをあっちゃんに差し出した。
『じゃあ、これあげる。あっちゃんが私のナイトだっていう証』
3個ついた星型のスタッズに、どうかあっちゃんが強い人になれますように、と願いを込めて、あっちゃんの手のひらにヘアピンを乗せた。
あっちゃんはその場で、前髪を上げてそのヘアピンをつけて、へへっと照れくさそうに笑った。
けれど、その日を境にあっちゃんは姿を消した。
毎日公園に行ってあっちゃんを探しても、どこにもいなくて。
それっきり、あっちゃんとは会えなくなってしまった。



