恭弥は一冊だけ私に持たせて、あと残り五冊を持ってくれた。
半分以上も……。優しいなぁ。
生徒会室をあとにした私と恭弥。恭弥と二人きりになるのは初めてで、なんだか少しドキドキする。
屋上を出て階段を下りながら、恭弥が口を開いた。
「……お前さ」
「ん?」
あ……、やばい。体温上がってきたかも。喉もさっきより痛くなってきた。
気にしちゃダメだ。演技に集中しなくちゃ。手足に力はあんまり入らないけど、午前中はうまく演技できてたし、この調子で……。
「大丈夫とか言ってたけど、本当は……」
隣にいるはずの恭弥の声が、なぜか遠くに感じる。
瞬間、グラッと視界が揺れて、フラついた体をどうしようもできなくて、演技を強制的に中断されたみたいに私の意識がだんだんと遠のき始めた。
「由楽……っ!!」
最後に視界に映ったのは、階段から落ちる私に慌てて手を伸ばす恭弥の不安げな顔だった。
私は力を振り絞ってゆっくりと恭弥に手を伸ばしたが、途中で力がつき、瞼を下ろし完全に意識を手放した。



