「……手当て終わったよ」
絆創膏を貼って、私は救急箱を片付けながらそう言った。
岳斗さんは何も言わずに私の横を通り過ぎるとき、ポンポンと大きな手のひらで私の頭を数回撫でた。
いきなり頭を撫でられて驚いたのか、それともときめいたのかわからないが、ドキドキと心臓が飛び跳ねているかのように音を立てる。
鼓動がだんだんと速くなっていく。
誰かに聞こえてしまいそうなくらい大きく高鳴る心音が、全身に響いているみたいだ。
静まれ、私の心臓!
「仕事始めるぞ」
棚からパソコンを取り出しながら岳斗さんは皆に言った。
私はこんなにもドキドキしているのに、横目で見た岳斗さんはやっぱり無愛想なままで。
意識しすぎなのはわかってるけど、どうしようもできない。
……もどかしくて、胸がきゅっとなる。
「皆、わかりやすいわね」
そんな私たちをじっと見つめていた利央さんが、誰にも聞こえないように小さな声で独り言を呟いた。
その言葉を拾った者は、誰ひとりとしていなかった。



