「あ……っ」
「恭弥さん?」
「……手当てしてくれてありがとな」
「どういたしまして」
熱を帯びた瞳で私を見ながら、恭弥さんは私にお礼を言った。
……恭弥さん?どうしてそんな切なそうな表情をしているの?
不思議に思ったけど、なぜか恭弥さんに「どうしたの?」と聞けなかった。なんとなく、恭弥さんの心に踏み入れることができなかった。
恭弥さんの手当てが終わり、次は岳斗さん。
岳斗さんは顔ではなく、手の甲に傷を負っていた。
痛そう。この傷も女の子に爪で引っ掻かれたのかな?
結構深い傷のついた手の甲を、私は心配そうに見つめる。
「心配すんな」
消毒液を染み込ませたガーゼでその傷に優しく触れると、岳斗さんがそう呟いた。
え……?
「このくらいの傷、なんともない」
私はまた、思ったことが顔に出ちゃってたかな?
岳斗さんの声はいつもより優しく聞こえて、私を安心させるために言ってくれたのかな……なんて、都合のいいように考えてしまった。



