「じゃあこの傷は……」
「女に爪で引っ掻かれたんだ。触りてぇからって、普通引っ掻くか?」
喧嘩で負った傷じゃなくて、女の子に絡まれてできた傷だったんだ。
じゃあ蜜くんが視線を逸らしたのは、ただ単に呆れてただけ?
……なんだ、そうだったのか。私、単純に考えすぎてたのかも。不良さん=喧嘩、そんな方程式を無意識に作ってた。
消毒を終えて、絆創膏をペタリと恭弥さんの頬の傷の上に貼る。
ふいに視界に入った恭弥さんの右サイドの髪に留めてあるシルバーのピン二つ。
あれ?なんだろう、この既視感。そのヘアピン、もしかして………。
星型のスタッズが三個ついた恭弥さんのヘアピン。
どこかの店で見たのかな?それとも……。
ヘアピンを凝視している私に気づいた恭弥さんは、ギュッと自分の拳を握り締めた。
「ゆ……」
「どうかしたのか?」
恭弥さんの私を呼ぶ声は、岳斗さんの声にかき消され、私には届かなかった。
私は「なんでもない」と首を横に振った。
きっと、私の考えすぎだ。恭弥さんが、“あの子”なわけない、よね。



