「そういえば、今日の放課後に一之江先生が生徒会室を訪ねるって言ってたわ」
水やりを終えた利央さんが、私を横目に見ながらそう言った。
一之江先生って、生徒会顧問だったよね。また何か仕事でも持ってくるのかな?
「……由楽、知ってる?一之江先生のこと」
「え?」
利央さんがいきなりそんなことを聞いてきて、私は黙ったまま首を横に振る。
なんだろう、一之江先生のことって。秘密でもあるのかな?
「一之江先生ってね、神雷のOBなのよ」
「えぇ、そうなの!?」
「なんでも昔はチャラかったらしいわよ」
一之江先生も望空さんと同じように神雷の先代だったなんて、驚いた。
元不良さんかなぁとはなんとなく思っていたけど、まさか神雷のOBだったなんて。
「だからそんな先代の一之江先生が持ってくる仕事を、あたしたちは断れないってわけ」
利央さんは微笑みながらそう言うと、そのまま校舎へ入っていった。
真面目に仕事をしていたのは、OBから仕事を託されたからだったんだ……。



