裏庭に着くと、誰かが花壇に水をやっていた。
誰だろう、こんな朝早くに……。
「あら、おはよう」
私の存在に気づいて、水をやっていた誰かが振り返ってそう挨拶をしてきた。
見覚えのあるミルクティー色のツインテールが、振り返った瞬間ゆらりと揺れる。
「お、おはよう利央さん」
「学校来るの早いのね」
まさか利央さんだったとは……。
私は利央さんの隣に立って、花壇の花を見る。
元気に咲き誇っている花たち。初めて見たときとは花の種類が変わっていて、キラキラとした花からは夏らしさが伝わってくる。
「利央さんがこの花壇の花を植えたの?」
「あたしというか、生徒会が、と言った方が正しいかな。ほら、岳斗の家ってこういう花も扱ってるでしょ?」
なるほど。そういう経緯なんだ。
知らなかったなぁ。私も生徒会なのに。
「花壇の花の手入れはあたしと蜜で、週替わりにやっているのよ」
そうだったんだ。
生徒会の仕事って、行事の企画や生徒朝会の運営だけじゃなかったんだ。
こういう小さなことにも目を向けていたんだ。初めて知った。



