そんなことを気にしていたの……?
私が蜜くんを嫌うだなんて、ありえないのに。
「でも、沖田に言い返してくれて、僕のことを受け止めてくれて、すごく嬉しかったんだ。……ありがとう」
じわじわと涙が溢れてきて、私は慌てて涙がこぼれる前に拭う。
バカだなぁ、蜜くんは。
「そんなの当たり前だよ。蜜くんの過去がどうであれ、蜜くんは蜜くんだもん。それに、蜜くんの髪の色も目の色も私は好きだよ」
藍色の髪は、まるで夜空のよう。そして濃い青の瞳は、まるで澄んだ海のよう。そんな美しい色をどうやったら嫌いになれるの?
羨ましいくらい綺麗な色をしているのに。
私は、蜜くんのことを知れて嬉しいんだ。蜜くんの抱えている不安も悲しみも、私が温かく包み込んであげる。だから、心配しないで笑って?
私が蜜くんを嫌いになる日は、きっと一生やってこないから。
「由楽……本当にありがとう」
瞳を潤ませながら改めてお礼を言った蜜くんを見ていたら、また涙がこみ上げてきた。
私は話を聞いただけだけど、蜜くんの心が少しでも軽くなっていたらいいな。
「じゃあ、岳斗さんたちの映画、見に行こっか」
「うんっ」
蜜くんとの距離が縮まった気がするのは、気のせいなんかじゃないよね?
私たちが屋上を出る瞬間、ふわっと優しげな風が舞った。まるで、天国にいるお母さんとお父さんが「仲良くなれてよかったね」と言っているみたいだった。



