「でも、今こうして強くなって笑顔でいられるのは、岳斗のおかげなんだ」
「岳斗さんのおかげ……?」
俯いていた蜜くんは顔を上げて、瞳を輝かせる。
まるでモノクロだった世界が、一気にカラフルになったかのように。
「中学3年のある日、沖田たちにある店に連れて行かれたんだ。そしたら、沖田に万引きをしろって命令されて、僕はそんな犯罪したくないって勇気を出して拒んだら、店の横の薄暗い路地に連れて行かれて、何度も殴られたんだ」
いじめだけじゃなく、犯罪までさせようとしたなんて、やっぱり最低だ。
蜜くんが勇気を出したのはきっと、自分の中の正義のためだろう。
そんな蜜くんのことをバケモノだなんて思えない。こんなにも真っ白な心を持っているのに、どうしてそんな酷いことを言えるのだろうか。
「何度も何度も殴られて頬が腫れてきた頃、また万引きをしろって言われて、もう無理だって思って頷こうとしたとき……岳斗が現れたんだ」
絶望が心を埋め尽くしていた当時の蜜くんには、きっと岳斗さんは正義のヒーローのように見えただろう。
たとえ本当の正体が闇の世界を支配する者だとしても、蜜くんにとっては“光”のような存在なんだ。
「その時の岳斗が超かっこよくてさ!『何してんだ、てめぇら』って岳斗が言っただけで、沖田たちはビビってて、僕はただただ岳斗に見とれてたんだ」



