「実はね、僕……」
屋上のフェンスに寄りかかりながら、蜜くんは話し始めた。
蜜くんの声がいつもより切なげだったのは、きっと気のせいではない。
「中学の時、いじめられてたんだ」
風によってなびかれた髪を抑えている私の隣で、蜜くんは震えた声でそう言った。
こういう時、なんて言えばいいんだろう。ひとつも言葉が浮かばなくて、私は驚くしかできなかった。
「さっきの沖田が中心のグループが、僕をいじめて楽しんでたんだ。見た目がバケモノみたいだって言われたり、テストで満点を取ったらカンニングしただろって疑われたりもした」
いじめを、楽しんでいた……?
なに、それ。おかしいよ。
他人を傷つけて楽しむなんて酷い。そんな最低な行為をするなんて……っ。
「その時の僕はまだ弱くてなんの仕返しもできなくて、毎日いじめられて、抵抗する気も失せていた」
蜜くんは中学の頃のことを思い出したのか、辛そうに下唇を噛み締める。
蜜くんにそんな過去があったなんて、想像もしてなかった。だって蜜くんはいつも元気で、天使みたいな笑顔をよく見せてくれていたから。



