電話越しに聞こえてきた由楽の声は、いつもより高めで。
遠くの方からは、蜜と恭弥の口喧嘩が聞こえてきた。
「どうしたの?」
『撮影終わったら、生徒会室来る?』
「行く予定だけど?」
『よかった。利央に教えてもらったレシピでガトーショコラ作ったんだけど、味がちょっと変になっちゃって……』
俺のファンになってくれた子たちをお姫様だと思っている俺にだって、好きな子くらいできるわけで。
『利央にアドバイスもらいたいんだけど、……いい?』
「つまり、俺に会いたいってこと?」
『えっ、あ、………うん』
服部れもんとは違う計算されていないその由楽の甘い声。
猫なで声とは全く違うその小さな声はちょっと照れていて、そこがどうしようもなく可愛くてずっと聞いていたくなる。
「ちょうど撮影終わったところだから、今からそっち行くよ」
『わかった。待ってるね』
切られた電話が少し切なく感じて、俺は困ったように微笑む。



