「はい、ラスト一枚!」
ベテランカメラマンはそう言うと、カシャッとシャッターを押した。
「二人とも良かったよ!本物の恋人同士に見えたくらいだ」
「そんなこと言われたら照れちゃいますぅ」
……はっきりと否定しろよ。
いつもなら優しげな笑みを浮かべて「じゃあ、付き合っちゃう?」なんて調子に乗って言う俺だけど、服部れもん相手だとそう思ってしまう。
「ねぇ、RIOくん」
スタッフが用意してくれたパイプ椅子に座ってスポーツドリンクを飲んでいる俺に、服部れもんが話しかけてきた。
「何?」
俺は作り笑顔を顔に貼り付け、できるだけ優しげな声でそう聞いた。
「桜彩学園に通ってるって本当なのぉ?」
体育祭後、ネットでは俺の話題で持ちきりだった。有名な不良高校にモデルが通ってるって知られたら、そりゃニュースになるだろうけど。
「そうだけど?」
「本当なんだぁ!意外だな~」
俺的には、モデルになる前から神雷に入ってたから、意外って言われると不思議に思う。「どこが意外なの?」って聞きたくなる。