――体育祭が終わって、秘密を隠す必要がなくなった“あたし”……もとい俺は今、RIOとして雑誌の表紙撮影をしている。
「RIOくん、こっち向いてー」
カシャッ、とシャッター音が響き渡るスタジオ。
俺が専属モデルをやってる雑誌の来月号の表紙は、俺と人気急上昇中の読モ・服部 れもん【ハットリ レモン】の二人のカップル風に仕上げたいらしい。
「いいね!じゃあ、れもんちゃんはもうちょっと照れた感じで」
「は~い」
どっかのインタビュー記事に、学園長代理の友達で国民的女優の花宮 いちご【ハナミヤ イチゴ】に憧れて“れもん”という芸名にしたと書かれていた。
そうインタビューに答えた妹系キャラが売りの服部れもんは、俺的にはちょっと苦手。
理由は、見た目が女装してたときの俺にそっくりだから。
高めのツインテールにしているベビーピンク色の長い髪、キリッとした瞳、細くて長い足。
……な?女装版の俺に似てるだろ?
「おっ、今のポーズいいね!」
「ホントですかぁ?ありがとうございま~す」
それに、甘ったれたような猫なで声にぶりっ子な性格。
結論、どんな女の子でも優しくするジェントルマンな俺はどうしても、全体的に服部れもんを好きになれないのだ。