「おい」
「っ!」
俺が林に声をかけると、林はビクッと肩を震わせながら俺を見た。
どうやら俺は目つきが怖いらしく、気弱な林を怯えさせてしまったみたいだ。
「ご、ごめんなさ……っ」
俺は何もしていないのに、林は俺に謝った。
きっと毎日のようにいじめられているから、そういうクセがついてしまったのだろう。
「謝んな」
俺は一言そう言うと、うさぎ小屋に視線を移した。
「なんでお前がここにいるんだよ。飼育委員じゃねぇだろ?」
「あ、えっと、た、頼まれて……」
俯いた林は暗い顔をしながらそう呟くように言った。
パシられたってわけか。
「で、でも、動物は嫌いじゃないから」
林はうさぎ小屋にいる数匹のうさぎを見ると、穏やかに微笑んだ。
……なんだ、ちゃんと笑えんじゃん。
「お前、優しいな」
「え……?」