これは、俺がまだ小学二年生のガキだった頃の話―――
俺のクラスの連中は、どうもクソばかりで。
「林くーん、俺の宿題やってきてくれた?」
「つか、お風呂ちゃんと入ってんの?臭いんですけど~」
真面目な林【ハヤシ】をいじめる奴らと、自分を守るためにそのいじめを見て見ぬ振りをする奴ら。
そんな奴らしかいない俺のクラス。
俺はそのどちらのタイプでもなくて、いじめをしてる奴らにガンを飛ばす奴。
「あたし、林の隣とかホントに嫌なんだけど」
「でも、席変わってくれる人なんていなくない?」
「はははっ、確かに!林の隣なんて誰もなりたがらないっつーの」
俺は、特別林と仲がいいわけでも、いじめに反対するヒーローになりたいわけでもない。
ただ、ああいう性格がひん曲がった奴らが大嫌いなだけ。
でも、まだガンを飛ばしているだけなのは、林が「助けて」と言わないから。
助けを求めていない奴のために動くほど、俺は優しくはない。
放課後になって帰ろうとした俺の視界に入ったのは、うさぎ小屋のところにいる林。
飼育委員でも何でもない林が、なんであんなところにいるんだ……?