僕はベーッと舌を出して恭弥をバカにしていると、ふと岳斗が由楽と何か話しているところが視界に入った。


岳斗は、由楽といるときが一番楽しそう。


由楽を見る目はいつも優しくて、まるで特別な宝物を見ているような甘い視線に、見ているこっちが恥ずかしくなるくらい。



「誰が能天気バカだ!年上は敬え!!」


「………」


「無視すんなよ!!」



由楽と一緒にいる岳斗の表情は、二番目に好きだ。ちなみに一番は、僕を見る岳斗の表情。


だから由楽には、ずっと岳斗のそばにいてほしい。


……なんて、勝手に思ってたりする。




「蜜くん!」




岳斗と由楽を見ていると由楽と目が合って、由楽は手招きをして僕のことを呼んだ。



「なーに?」


「映画のラストのシーンで岳斗さんが言ったかっこいいセリフ覚えてる?」


「覚えてるよ!確か……」




ゆっくりと変わっていく日々の中で、僕の憧れの人がずっと岳斗であるように、僕たちの笑顔が変わらずに今のキラキラとしたままであり続けて欲しい。


どんなに危険なことが起こっても、冷たい涙を流す日が来ても、僕たちの未来にはいつだって笑顔があったらいいな。


今僕が思ったことを岳斗に言ったら、きっと岳斗は真っ直ぐ見つめて言うだろう。


「未来は、自分自身の手で切り拓くもの」だと。




~終~