岳斗たちのクラスが撮った映画のラスト上映に間に合った僕と由楽は、上映される視聴覚室の一番前の席に座って、映画を鑑賞していた。


岳斗たちが主演の映画はサスペンスもので、岳斗が探偵役、利央が謎の美女役、恭弥が犯人役だった。



《もう逃げ場はねぇぞ》


《はっ、それはどうかな?》



が、岳斗かっこいい!!


岳斗は探偵役だからかよく衣装が変わっていたけれど、どれも格好良く着こなしていた。写真を撮りたかったくらいだ。







――岳斗と出会ったのは、中学三年の春。


いじめられていた僕を助けてくれた岳斗に、僕は憧れを抱いた。




『大丈夫か?』




岳斗は、地面に座り込んでいた僕にそう言って手を差し伸べてくれた。


その頃の僕の心にあった沖田たちへの恐怖を一瞬で消し去ってくれた岳斗が、キラキラ輝いて見えて。


弱いと決め付けていた自分が、恥ずかしくなった。



『あ、あの!』


『ん?』


『名前、教えてもらってもいいですか?』



助けてくれたお礼がしたくて、僕は岳斗の手を取って立ち上がってそう尋ねた。