「からかってるわけでも、冗談でもなく……?」
「あぁ」
「本当の本当に?」
「そうだっつってんだろ?」
どうしても信じられなくて、私は何度も岳斗に確かめてしまう。
これが夢だったらどうしよう。目が覚めたら、またおばさんに暴力を振るわれて地獄の日々に戻っていたらどうしよう。
そう心配になるくらい、今日は幸せなことがありすぎた。まるで一生分の幸せが今私の身に降りかかっているようだ。
こういうのを、奇跡って呼ぶのかな?
「お前は?」
「え?」
「お前は俺のことどう想ってんの?」
岳斗の漆黒の瞳が、私を捉えた。
岳斗は私の頭においていた手をなぞるように動かして、私の頬にそっ触れた。
瞬間、涙が流れ落ちた。
「由楽の気持ちを聞かせて」と、岳斗の視線は囁いている気がした。



