こんなに楽しい夜は久し振りだ。
窮屈な思いをしながら一人で泣いていた夜はもう来ない。
これからは、こんなにもキラキラとした時間を送れるんだ。
「“侍”の話、僕も聞きたい!」
「俺にも聞かせろっ」
利央に続いて、蜜と恭弥がそう言って私に近づいた。
「岳斗も聞くだろ?」
恭弥が、下っ端さんたちに囲まれている岳斗にそう聞くと、岳斗は「あぁ」と頷いてその場を離れてこちらに来た。
「お父さんは――……」
大好きな皆に、大好きな家族の話を懐かしむように語り始める私。
賑わう神雷の洋館を星たちが見守る中、長い長い夜は続いていく。
闇夜に怖がる私はもうどこにもいない。
笑顔が溢れるこのパーティーは、まるで私の傷を負った心を癒す薬のよう。
一瞬一瞬の小さな思い出を大事に拾い集めながら、私は皆と楽しい夜を過ごす。
どうかこの幸せが永遠に続きますように。
そんな願いを心の中で唱えながら、私は多くの伝説が語り継がれている“侍”の話を続けた。