私は振り返って、過ごしてきた光のない部屋を見渡す。
そして、脱力したように座り込んだおばさんの前に立った。
「由楽?」
立ち止まる私に、蜜が声をかける。
黙って俯くおばさんに、私は頭を下げた。
「今までお世話になりました」
たった一言そう言うと、私はもう戻ることはない自分の部屋を出た。
暴力を振るわれていたけれど、毎日ご飯を食べさせてくれた。私の服を洗ってくれた。その恩も傷つけられたことも、私はずっと忘れない。
謝罪の言葉を聞いても、きっと私はおばさんのことを一生許せない。
だからこそ、けじめをつけるために私は出て行く前にお礼を言ったんだ。
家を出ると、おばさんの支配からようやく解放された気分になった。
岳斗は私の手を強く握り締めた。
そのことに気づいた私は岳斗の方を見ると、岳斗は心配そうに私を見つめていた。
私はそんな岳斗の手を握り返して、私は平気だと伝える。
「……行こう」
私がそう言うと、皆は優しく笑って頷いた。



